f0141507_23365036.jpg

11月も終わりに近づくとクリスマスはもう目の前です。
各家庭でクリスマスの準備が始まります。もみの枝とローソクでリースを作って部屋を飾りつけたり、クリスマスのお菓子づくりを始めます。町にはクリスマスマーケットが立ち、イルミネーションが飾られ、商店・スーパー・デパートにもクリスマス用のものがあふれます。クッキーやシュトレンを焼く時の香り、クリスマス市から漂ってくるグリューワインやキャラメルアーモンドの香りは、シナモン・クローブ・カルダモン・バニラ・アニスといったスパイスと甘い砂糖の混ざった、クリスマスらしい香りです。この香りが更にクリスマスの雰囲気を盛り上げてくれます。

ドイツ語には「クリスマスのスパイス」という意味の「ヴァイナハツゲヴュルツ(Weihnachtsgewürz)」という単語があるほど、スパイスとクリスマスは切っても切れない関係にあります。イエス様が誕生した時にやってきた東方の3賢人たちも贈り物の一つに香料を持ってきたといわれていますし、中世の時代のヨーロッパでは、アラブ商人を介して遠くインドや中国からやってきたスパイスは同じ重さの金と交換されるほどの貴重品だったそうです。その後の大航海時代もヴァスコ・ダ・ガマは、インド国王に、来航目的は「キリスト教とスパイスのため」と告げたというほど、ヨーロッパ人にとってスパイスはキリスト教と同じく思い入れの強いものだったようです。

また、スパイスは、その香りの魅力はもちろんのこと、冷蔵庫がなかった時代に、食品、特に肉の保存に役立つ「防腐・抗菌」などの効用に注目が集まりました。ペストが大流行した17世紀のヨーロッパでは、クローブの香りが病気を寄せつけないと信じられ、患者を診る医者は今の消防服のようなものを頭からかぶり、目の部分はガラス張り、口には長い管をつけ、その先に香りの高いクローブを詰めて空気をろ過するという珍案が発明されていたそうです。実際、クローブには抗菌作用だけでなく健胃作用や整腸作用もあります。その他、クリスマスのスパイスとして代表的なものには、クリスマスの寒い時期を健康に過ごすための効能を持つものばかりです。シナモンとカルダモンは体を温め、アニスは消化不良を軽減しますし、バニラは幸せホルモンを分泌させるのだそうです。

そんな香りのほのかについた甘いシュトレンはドイツ人にとって特別な思い入れのあるものです。それは、シュトレンを口にした時に、子供時代のアドベントやクリスマスの記憶や感情が鮮明に呼び起こされ、幸せな気持ちや当時の家族のこと、小さな自分を思い出すからでしょう。

今年のアドベントは仕事ばかりでなかなか家族との時間の取れなかった私ですが、私が焼いたシュトレンを家族や親戚が喜んで食べてくれて、嬉しいフィードバックをもらえると、忙しいけど、今年も作っておいてよかったな、と思います。子供たちが大きくなってから、「シュトレン=ママ」と思い出してくれるようになるといいな、と思います。

f0141507_23521197.jpg


ところで、ドイツの修業仲間でドイツの製菓マイスターと製パンマイスターの両方の資格をお持ちの根岸靖乃さんが、このたび独立されてオンラインショップ「N(えん)」を立ち上げました!インスタグラムの写真でもお分かりのとおり、どのお菓子も綺麗でおいしそうです。シュトレンもすごく上品な仕上がりで「さすがだなぁ」と唸ってしまいます。シュトレンはこの秋に彼女がスイスに遊びに来てくれた時に、私の工房の倉庫で使われずに埃をかぶっていたものをもらってくれて、それで焼いてくださったそうです。もともと、この型も廃業したベーカリーなどからの不用品を売っているお店で買ったものなんですが、靖乃さんにこんなに素敵に日本で生き返らせてもらって、さぞ喜んでいることだろうと思います。

うちの子たちが生まれた時に、日本の親戚や実家のご近所の方々など、お祝いをくださった方へのお礼として贈る出産内祝いで大変悩みました。日独ハーフの赤ちゃん誕生の内祝いに、こんな本場で修業された方のドイツ菓子セット等は最適だろうなって思います!

‥‥…………………………………………‥‥・・・
コメントには私からのレスは付きません。
コメント欄の決まりごとについては、こちらをご覧ください。
‥‥…………………………………………‥‥・・・


ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村

by deutschebaeckerin | 2018-12-25 23:56 | お菓子 | Comments(0)

絶対失敗しないマフィン

f0141507_22001699.jpg

とにかく混ぜるだけの、簡単しっとりマフィンの作り方です。
ウェブサイトの方では、2005年に発表しています。「とにかく簡単!」をモットーに考え、何度も簡単にするべく作りまくって、現地の方にも食べてもらいまくったレシピで、ご覧のように4歳だったいーたんが自分で作れるぐらい簡単です。

f0141507_22003715.jpg

2歳だったゆーくんも一緒にタネを型にのんびり入れてても平気。
卵は泡立てたりする必要なんてなく、とにかくボウルに材料を上から順番に加えて混ぜるだけでできます。
できれば、ベーキングパウダーと重曹は粉と先に混ぜておくと良いですけれど。

f0141507_22000035.jpg


基本のマフィン(6-8個分) 焼成:180℃ 25-30 分

1個
砂糖70 g

ヨーグルト100 g
牛乳50 g
サラダ油50 g

小麦粉120 g
ベーキングパウダー小さじ1
重曹小さじ 1/3

チョコチップ等トッピング50 g

このレシピを発表した頃は、うちには子供がいなかったため、お誕生日には幼稚園や学校にケーキを持参するなどということを知らずにいましたが、いろんなお母さんの友達から、レシピを活用してるよ~と言ってもらっていました。うちにも、いーたんとゆーくんが生まれて、私も持参ケーキの際には自分のマフィンレシピを活用してます。

一昨日お誕生日だったゆーくんが、学校に持参するため、ゆーくんのリクエストで、昨日はチョコバナナマフィンを作りました。
牛乳の代わりにブレンダーでどろどろに粉砕したバナナを加え、粉の5%をココアパウダーに置き換えました。

粉を全粒粉にしたり、抹茶味にしたり、人参ケーキみたいにおろした人参とシナモンを入れたり、とにかく好きなように変化させられます。
ただし、重曹を酸と反応させて膨らませていますので、ヨーグルトは他のもので代用しないでください。

f0141507_21595068.jpg

いーたんが6歳の時のお誕生日会では、基本マフィンを沢山焼いておいて、クリームやトッピングを用意しておいて、お友達たちとデコレーション大会をしました。
作ったものは持ち帰れるので、迎えにきたパパやママに見せて、みんな得意げでした。
。。。なんだか、それも遠い昔の気がします。お誕生日会で親が迎えに来るとか、そういう時代は終わりましたねぇ。
今は友達とプレゼントを買いに町に行って、誕生会も友達と連れ立って行って帰ってくるようになりました。

f0141507_22094088.jpg

‥‥…………………………………………‥‥・・・
コメントには私からのレスは付きません。
コメント欄の決まりごとについては、こちらをご覧ください。
‥‥…………………………………………‥‥・・・


ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村

by deutschebaeckerin | 2018-12-04 22:14 | お菓子 | Comments(0)

いろんなシュトレン

今でこそ、「シュトレン」という正しい呼び方も日本で随分浸透しましたが、私がウェブサイトを始めた20年前にはほぼ100%まだ「シュトーレン」と表記されていました。シュトーレンという呼び名の前には、ストーレンとかシトーレンと表記されていた時代もあるそうです。ドイツ語では「ST」と書いた時のSは「シュ」と発音されますが、ストーレンというのは、きっと英語の読み方で読んでしまったのでしょうね。

f0141507_22235872.jpg

5年前に「シュトレン―ドイツ生まれの発酵菓子、その背景と技術」という本の冒頭部分15ページ、シュトレンの歴史や現在の状況、ドレスデンのシュトレン祭りについて、写真と原稿を上げさせていただきました。子供達もまだまだ小さい頃だったので、毎晩寝かしつけたあと夜なべをして原稿を書き上げました。それまで私がやってきたことや、関わった人の温かい気持ちを一つにまとめられたような、自分で言うのもなんですが、とてもいい原稿が書けたと思います。

その中にも書きましたが、昔に比べて甘いものも多様化し、レーズンやオレンジ・レモンピールが好きだという年齢層は老化の一途をたどっていますし、カロリーを気にする現代においてシュトレンのように砂糖とバターという高カロリーの材料をふんだんに使うものは残念ながら、その人気を維持するには厳しい環境にあります。

私がマイスター試験のために通ったドイツのヴァインハイム製パン学校のクッチャー校長先生は、ドイツのシュトレンコンテストで歴代最多優勝をしている人で「シュトレン職人」として有名な人なんですけど、実は彼のパン屋さんでは1998年シュトレンはたった25本しか売れなかったそうなんです。そこで、何が原因なんだろうと、顧客へのアンケートを実施して、粉砂糖の代わりにホワイトチョココーティング、レモンピールなし、そして企業秘密のレシピ改良をしてシュトレンコンテストで3年連続優勝したそうです。他にも毎年新しいシュトレンを発表して、Die Lohner's というブランドから2003年にはクリスマスの時期に18トンものシュトレンを世界中に売るようになったそうです。(Lohnerのシュトレンのウェブショップ)


f0141507_22234879.jpg

写真は2006年のマイスターコースの卒業式の様子。先生も私も若かった。。。。先生とはたまにメールのやり取りがあったり、3年に一度はミュンヘンのパン業界メッセでお目にかかったりしてます。相変わらずワーカホリック。。。。

f0141507_22233843.jpg

f0141507_22241717.jpg

話はもどって、現地ドイツでのシュトレンの不人気ぶり。パン業界としては、日持ちがして比較的高値で売れるシュトレンにはがんばって欲しいものです。ですので、レーズンを入れずに、チェリー、クランベリーに代えてみたり、はたまたチョコレートにしてみたり、アプリコットとピスタチオをメインにして色だけでなく香りもローズマリーを加えて南欧風にしてみたり、ジンジャーをメインの風味に持ってきたりと、いろんな新しいシュトレンが生まれています。(上記写真は、私が作ったドライチェリーのシュトレン、ドイツで買ったいろんなシュトレンです)


シュトレンの本では、日本で活躍する19名のパン職人の方々がご自身のシュトレンとレシピや作り方を詳しく写真つきで紹介しているんですけど、本場のシュトレンを見慣れている私や私の周りの人には、断面の写真ではやはりドイツ修業仲間の二人とヴァインハイム製パン学校の先輩であるビオブロートの松崎さんのシュトレンが美味しそうに見えます。

f0141507_22240883.jpg

今日は仲間の一人、杉沢さんのシュトレンをご紹介します。
高知大学のホッコスイーツさんで、杉沢さん&エンゲルハートさんのシュトレンが購入可能だそうです。油脂はバターのみを使っているそうで、200gで1200円だそうです。


‥‥…………………………………………‥‥・・・
コメントには私からのレスは付きません。
コメント欄の決まりごとについては、こちらをご覧ください。
‥‥…………………………………………‥‥・・・



ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村

by deutschebaeckerin | 2018-11-30 22:41 | お菓子 | Comments(0)

今年のシュトレン作り 2

昨日の続きの「今年のシュトレン作り」の様子です。
焼成するところから、写真でお届けします。
レシピと作り方の詳細は、「シュトレンのレシピ」をご覧ください。

f0141507_15585485.jpg

昨日の成形をご覧になった方は気づいたと思いますけど、シュトレンの上下はこのようにずらさず上下同じところに重ねてしまって構いません。焼いている間に膨らんで、結果として山がずれます。逆に最初からずらして、麺棒でぎゅーっと押さないでいると、焼成中に開いてしまいますよ。

焼成はご覧のように天板を2枚重ねて行います。
これは700gの大きい方のシュトレンです。まず15分間下段で200℃で焼きます。

f0141507_16000375.jpg

15分経ったところです。温度を180℃に下げて、更に15分焼きます。

色が結構つきましたね。

f0141507_16022555.jpg

最後の15分は中段に上げて焼成しますので、更にこれ以上色づくと黒くなりすぎるので、カバーをつけます。オーブン庫内でも熱のあたり方が場所によって違うので、段を変える時に天板も前後を回転させて、なるべく均等に熱が当たるようにします。

f0141507_16051095.jpg

f0141507_16053108.jpg

焼きあがりました。
中心の温度は、92.9℃ですので、OKです。
最低でも92℃、最適温度は94℃、最高は96℃が目安です。
上記以下だと生焼けの可能性があり、それ以上だと、焼きすぎで風味が落ちます。

f0141507_16060204.jpg

バターを上にも底にも側面にもしっかり何度も塗って、分量のバターを全部使い切ってください。

f0141507_16054944.jpg

そして、グラニュー糖とまぶし、翌朝まで置いておきます。

f0141507_16085628.jpg

小さい方のシュトレンも焼きました。こちらは、94℃。完璧!!

f0141507_16091997.jpg

翌朝、粉砂糖を振ります。底にも側面にもしっかりふってくださいね。

f0141507_16101363.jpg

はい、出来上がりました。
今年もこれで一安心。

f0141507_16104757.jpg

アルミホイルで包んで、一週間後の第一アドベントまで涼しい場所においておきます。
大きいシュトレン、一つは義父母へ、一つは義兄宅、一つは自宅用。
小さいのはプレゼント用です。

f0141507_16111406.jpg

‥‥…………………………………………‥‥・・・
コメントには私からのレスは付きません。
コメント欄の決まりごとについては、こちらをご覧ください。
‥‥…………………………………………‥‥・・・



ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村

by deutschebaeckerin | 2018-11-26 16:21 | お菓子 | Comments(0)

今年のシュトレン作り 1

アドベントまであと一週間です。
作ってから一週間後から美味しくいただける、我が家のバターシュトレンを今日は作っています。

画像と動画で今日の様子をお伝えします。
レシピと作り方は、こちらを参考にしてください。
「シュトレンのレシピ」

f0141507_00141036.jpg

昨夜、バカルディ・ラムでフルーツの準備をしました。

f0141507_00260246.jpg

今日はまずアーモンドをローストして、牛乳の中にジュッと入れて10分おいてから濾し、アーモンドミルクで中種生地を捏ねました。

動画は、発酵を安定させるための中種を手捏ねしている様子です。
シュトレンのこの固めの生地にせよ、普通のパン生地にせよ、手捏ねの仕方はいつもこんな感じです。
片手だけ手袋をしているのは、右手の指を怪我してしまっているからです。



f0141507_00384672.jpg

中種を発酵させている間にシュトレンスパイスを作ります。
年に一回、この時期に在庫確認をします。今年も少し買い足しが必要でした。
バニラパウダーは、価格が高騰する前に沢山買っておいてよかった(封を切ってなくてまだ香りは大丈夫でした)。

f0141507_00182270.jpg

シュトレンスパイスは、バター、砂糖、塩と一緒に練っておき、発酵した中種、小麦粉と捏ねて、しばらく休ませてからフルーツ、ナッツと混ぜます。レーズンの量、すごいでしょ。ドレスデンのシュトレン祭りに行った時、ドレスデンのパン組合の方が、「Flüstern Rosinen(レーズンが近くに集まってこそこそおしゃべりをしてる)」のが、良いシュトレンの証です。って言っていました。

f0141507_00232594.jpg

型に入れずにこのまま焼いたら、どれだけ表面の黒く焦げたレーズンをはずす羽目になるのやら。私はそういうことにならないように生地でカバーをしてしまいます。

さて、最後はシュトレンの成形の動画です。これから焼成します!ではまた明日!



‥‥…………………………………………‥‥・・・
コメントには私からのレスは付きません。
コメント欄の決まりごとについては、こちらをご覧ください。
‥‥…………………………………………‥‥・・・



ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村

by deutschebaeckerin | 2018-11-25 23:56 | お菓子 | Comments(0)

AN スイスでどら焼き

ヨーロッパの都会(パリとか)からは、すごく遅れをとってると思いますが、スイスでも和菓子の認知度が上がってきています。

創業したての5年前には、ちょうど「抹茶ブーム」が始まった頃でした。日本食のお店では、抹茶味のお菓子を求める人がちらほらいるという程度でした。その後、スター○ックスなどでも、抹茶ラテが始まったりして、今ではついにスイスの老舗チョコバーメーカーまでもが抹茶味を出すに至っております。

f0141507_14432845.jpg

f0141507_14412393.jpg

抹茶の次に来たのが「AN」ブーム。
樹木 希林さんの2015年主演映画「あん」は、スイスでヒットしましたが、この映画を見た人は「どら焼きを食べてみたいなぁ」と思ったそうです。和菓子になんて全く興味のなさそうなスイス人の知り合いにまで「あの、映画のお菓子、作ってないの?」と当時聞かれたものです。そう、残念ながら当時はそんな映画がヒットしているとは知らず、弊社のどら焼きはまだ試作段階だったんですよ。

f0141507_14434058.jpg

どら焼きは間に合いませんでしたが、餡子が浸透していると実際感じるのは、あんまんの売れ行きです。弊社がイベント出店を始めた2015年の3月にはチューリッヒの大きなイベントでさえ、「Sweet Bean(あんまん)」と注文する方に、念のため「これ、甘いですよ」と伝えると「え?そうなの?じゃ、別の」と言うかたも結構いたのですが、今では、餡子の存在を知っていて、それが好きだから積極的に注文している!という態度の方がすごく増えたのです。ちなみに、チューリッヒはドイツ語圏スイスの中でもかなり特別で、新しいものを受け入れるのが早い場所です。

f0141507_14411110.jpg

樹木 希林さんの訃報については全く知らなかったそうですが、Filmpodium Thalwil という小さな映画館の方から、12月11日に「AN」を上映するので、その時に「どら焼き」を提供したいとご連絡をいただき、先日冷凍したものをお引渡しいたしました。タールヴィルお近くの方で、まだANをご覧になっていない方がいらしたら、足を運ばれてはいかがですか?入場料はたった6フランみたいですよ。

‥‥…………………………………………‥‥・・・
コメントには私からのレスは付きません。
コメント欄の決まりごとについては、こちらをご覧ください。
‥‥…………………………………………‥‥・・・


ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村

by deutschebaeckerin | 2018-11-22 14:48 | お菓子 | Comments(0)

f0141507_23151142.jpg

混ぜるだけの簡単なスイス風リンゴケーキの作り方です。めちゃくちゃ簡単で、絶対失敗しません。
この記事は「スイスのタルト(ヴェーエン)と薪釜の関係」の後編です。

スイスのタルト(ヴェーエン)生地をクーヘンタイクと呼びます。ドイツから来た、特にベーキングに詳しい私みたいな人は、いろんなスイスの名称にすごく最初は戸惑うと思います。クーヘンっていうと、ビスキュイみたいな膨らんだものをパッと想像してしまうので、それにパン生地を想像してしまうタイクって単語がくっついてて、「え?何ですか?それ?」みたいな。。。長く居ると慣れてくるんですけどね。

さて、このスイス風のタルト生地ですが、練りこみパイ生地みたいにバターを小さく切ってよく冷やしておいて、粉と塩を混ぜたものの中に加えてスケッパー等で細かいそぼろ状になるように混ぜ合わせたら、水を加えて捏ねてまとめて30分以上寝かせます。(冷蔵庫で一晩でも二晩でもいいです。ここまで作って冷凍してしまってもいいです。面倒な方はスーパーでクーヘンタイクを買ってください。代わりにパイ生地を使ってもいいです。)

クーヘンタイク
Ø30cm Ø26cm
小麦粉(Weissmehl, Typ 405) 250g 190g
バター 125g 90g
4g 3g
65g 50g
f0141507_23133373.jpg

生地を寝かせてる間にフィリングを作ります。リンゴは皮ごと粗い下ろし金で下ろします。リンゴは絶対にゴールデンデリシャス(こちらではGolden)を使ってください。他の種類のリンゴで作ると、出来上がった時に皮が口の中で硬く当たって全然美味しくありません。下ろし金はスイスのハッシュドポテトである、レシュティ用の穴の大きさがちょうど良いです。大きな穴の下ろし金がなければ、包丁で刻むしかないでしょうねぇ。リンゴが下ろせたら、残りの材料と一緒に混ぜるだけです。

フィリング
Ø30cm Ø26cm
リンゴ(ゴールデンデリシャス) 1150g 860g
砂糖 150g 110g
ヘーゼルナッツ プードル 60g 45g
生クリーム 200g 150g
コーンスターチ 50g 38g
シナモン 2.5g 2g
f0141507_23134471.jpg

f0141507_23135467.jpg

f0141507_23201533.jpg

タルト型にクーヘンタイクを伸ばしてのせて、フォークで穴をあけたらフィリングを流し込み、180度で45-50分焼いたら出来上がりです!すごく簡単で美味しいので、騙されたと思って作ってみてください。冷えたのをそのまま食べても美味しいですが、温めて、バニラアイスを添えていただくと絶品です。

‥‥…………………………………………‥‥・・・
コメントには私からのレスは付きません。
コメント欄の決まりごとについては、こちらをご覧ください。
‥‥…………………………………………‥‥・・・


ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村

by deutschebaeckerin | 2018-11-09 23:28 | お菓子 | Comments(0)

ヌテラを手作り

f0141507_06231546.jpg

今日は子ども達とヌテラを手作りしてみた時のお話です。
ヌテラとは、チョコレート風味のパンに塗る甘いペーストです。

秋になると、ヘーゼルナッツが道端に落ちている場所が沢山あります。
子ども達が学校帰りにちょっとずつ拾って来るので、割って食べながらいろいろお話していたら、
子ども達の大好きなヌテラはヘーゼルナッツで出来てるんだよ~という話題になりました。
そしたら、案の定、自分で作ってみたい!!と言うので、
「よっしゃ、今度の連休で作ってみよう!」
となりました。

今は便利になったもので、「ヌテラを自作する」と検索すると、ドイツ人のお姉さんがヌテラの手作りを教えてくれる動画をみつけました。
子ども達と見てみて、関連動画にヌテラで作る星型のパンもあったので、こちらも作ろう!という話になりました。



さて当日は、「ヌテラを一緒に手作りしよう」と声をかけて、近所の子ども達も一緒に作ることになりました。
まずはヘーゼルナッツ集め。バケツを子ども達に渡して、「じゃ、よろしく~!がんばって集めておいで~。」と外に出してしまって、私は優雅に午前中のコーヒータイム。

しばらくして戻ってきた子ども達と、もう一度例の動画を見て、レシピを書き出しました。
よし、まずは殻を割って中身を出すところからね。

f0141507_06211698.jpg

「じゃ、よろしく~。お願いしま~す。」と道具を渡して子ども達にがんばってもらいます。やる気のあるうちにやってもらわないと、絶対途中で飽きてきて、最後は私の仕事になってそうなんですもん。

f0141507_06212982.jpg

次は、弱火でヘーゼルナッツの中身を炒ります。
もうこの辺で、2人ほど脱落して、別のことして遊んでおります。

f0141507_06214885.jpg

炒ったヘーゼルナッツの粗熱をとって触れるようになったら、両手で擦り合わせるようにして茶色い薄皮を取ります。
そして、次にナッツを砕いて油が出てとろ~りとするまで練ります。

f0141507_06220589.jpg

まずは、キッチンエイド付属品のミートチョッパーでひき肉を作るように細かくして、次にフードプロセッサーで更に粉砕していきます。

f0141507_06221728.jpg

が、これが、本当に途方に暮れるぐらい時間がかかりました。
本当に練りゴマみたいにトロトロになるんだろうか?と何度も思いましたし、途中フードプロセッサーが熱を持って熱くなってしまうので、何度も休憩しました。
そしたら、1時間半ぐらいかかってやっと本当にとーろとろになったんですよー。
ってね、もちろん、この作業の途中から仕事してるのは、私ひとりになってましたよ。
子ども達は外に遊びに行ってしまって、誰ももう家にいない状態・・・・。

f0141507_06223605.jpg

でも、最後ぐらいはちゃんと見て欲しいので、子ども達を連れ戻してはみたものの、あんまりもう興味なさそうでした。
それでも、残りの材料のチョコレート、ココア、砂糖などを入れてもらってフードプロセッサーで混ぜて、出来上がり!

f0141507_06225067.jpg

捏ねておいた生地で「ヌテラの星」という菓子パンも作り(ここはまた子ども達やる気まんまん)、最後は出来たヌテラを小さな小瓶に入れて、各々が家に持って帰りました。ヌテラの星は見た目も良くて美味しくて、あれから子ども達とパン生地でおやつを作る時によく作るようになりました。

f0141507_06230408.jpg

って、これは2年前の話なんですけど、秋になって、ヘーゼルナッツが道端に落ちてる季節になるたびに
「またヌテラ作ろうか~?」と聞いてみますが、いつも答えは、
「嫌だ~~!」になってしまいました。ちゃんちゃん。



・・・‥‥…………………………………………‥‥・・・
コメントには私からのレスは付きません。
コメント欄の決まりごとについては、こちらをご覧ください。
・・・‥‥…………………………………………‥‥・・・


ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村

by deutschebaeckerin | 2018-11-06 05:00 | お菓子 | Comments(0)

私のシュトレンレシピと作り方を公開します。
パン作りに自信がある方でも、ドイツの工房に研修に来ているつもりで、とにかくこの作り方に忠実に一度作ってみてください。
自己流アレンジなしで一度ドイツの作り方に忠実にしたがってみるのも良いと思いますよ。違う世界が見えるかも。

昔から公開しているレシピはこちらです。
ここにない写真もあるので、少しは参考になるかもしれません。

Butterstollen (バター・シュトレン) 700g x 2個 または 350g x 4個

f0141507_22105606.jpg
レーズン350g
オレンジピール&レモンピール50g
ラム酒(またはキルシュ)30g

縦割りアーモンド50g
牛乳175g


小麦粉250g
生イースト25g


バター180g
砂糖50g
シュトレンスパイス※小匙 4
6g


小麦粉200g


溶かしバター100g
グラニュー糖適宜
粉砂糖適宜

f0141507_00530746.jpg※ シュトレンスパイスの配合割合 (ひいた粉の状態 gemahlen)
シナモン (Zimt)3
バニラ (Vanille)2
ナツメグ (Muskat)1
コショウ (Pfeffer)1
カルダモン (Kardamom)1


作り方とポイント

前日(24時間前)にする準備
ドライフルーツをラム酒と混ぜておくのですが、以下のような下処理をします。

  • レーズンはぬるま湯でさっと洗って、3分間熱湯につけた後、ざるの上などで水切りしておく。
  • オレンジピール&レモンピールは小さい方が美味しいので、さいころ状に切ってあるものでも更に包丁などで刻んでおく。
  • ラム酒(またはキルシュ)を振りかけてざっと混ぜたら、容器に蓋またはラップをしてそのまま室温でおいておく。


当日
中種づくり
油脂が多く、フルーツがたくさん入るシュトレンは重たい生地の代表で、中種を作ってあらかじめ発酵させることにより、発酵力を安定させる必要があります。

  • 縦割りアーモンドを薄く色づく程度にローストし、牛乳に10分間つけたあと、水分を切る。アーモンドの風味のついた牛乳(アーモンドミルク)は中種に使用する。
    (アーモンドのローストは写真ぐらいの薄めの色目が良いです。色が濃くなると出来上がったシュトレンのクラムの見た目が悪くなります)
  • 粉はグルテンの強い Weizenmehl der Type 550 (Brötchenmehl)を使用する。スイスの場合は、Zopfmehlを使用する。
  • アーモンドミルク、粉、イーストを大きめのボールに入れて、つるっとした表面になるまで10分弱捏ねる(生地温度は25℃)。

中種の一次発酵
  • 布巾などで 覆いをして室温(21℃)で、ふわ~っと膨らんでくるまで30分~45分おく。(写真は捏ね上げ直後と発酵後の様子です。参考にしてください。)
  • その間に、室温に戻したバター、砂糖、スパイス、塩を練り混ぜておく。
    スパイスの香気成分は油脂に溶け出すものも多く、粉と一緒に混ぜるよりもバターと一緒に練ることにより、香りを効率よく引き出します。

本生地づくり
  • ふんわり膨らんだ中種に、練ったバターと粉を加え、再び5分ほどしっかり捏ねる(生地温度は25℃)。
  • クラスト用に、捏ね上げた生地から約1/5の量(180g)を取り分け、作りたいシュトレンの数によって分割し、手のひらで押して平らにしておく。(350gの小さいシュトレンを4つ作る場合は45gずつ、700gの大きなシュトレンの場合は90gずつ)
  • 生地の緊張を取るため、このまま約20分のベンチタイムをとります。

フルーツとナッツを生地に混ぜる
  • あまり長く力を入れて捏ね過ぎると、フルーツが潰れて生地を汚してしまったり、それにより余分な水分が生地についてしまったり、生地が破けて成形しずらくなるので、気をつけてください。

成形
  • フルーツがよく混ざったらすぐに分割して丸め、細長くする。
そこへ取り置いておいた生地を薄く伸ばしたものでカバーする。こうすることにより、焼成中に表面に出たレーズンを焦がすことがなくなります。
  • ここで再び10分間おいて生地の緊張を取ります。

  • カバーの綴じ目の部分を上にして生地の中心を麺棒で伸ばす。その時、上下端部分は太めにする。太めの両端を重ねるように折り、焼成中に重ねた部分が開いてしまわないように、 重ねた両端部分の反対側を麺棒でぎゅーっと押す。
  • シートを敷き、2枚重ねた天板に並べ、成形後10~15分後にオーブンに入れられるように、上火・下火の設定で200℃に予熱しておく。

焼成
  • 下火で底が焦げやすいので、天板を二重にして焼成する。
  • 霧吹きで表面に水をかけてから、オーブンの下段に釜入れする。
  • 焼成途中で温度を下げ、最後に天板を中段へ移動させる。プロセスは以下のとおり。もちろん、それぞれのオーブンのクセなどがあるので、あくまでも目安です。

350gのシュトレン 焼成時間35分
200℃
15分 →
下段

180℃
10分 →
下段
180℃
10分
下から2段目

700gのシュトレン 焼成時間45分
200℃
15分 →
下段

180℃
15分 →
下段
180℃
15分
下から2段目


  • 焼成している間に、バターを溶かしておく。

仕上げ
  • 焼きあがったら、シュトレンの表面に飛び出して来て黒く焦げているレーズンを全部ナイフで取り除く。 食べる時に苦味の原因になるので、しっかり取り除くこと。

  • シュトレンがまだ温かいうちに、表面全体に溶かしバターをたっぷり塗り、グラニュー糖をまぶす。

翌日
  • 仕上げをしてから約12時間経ち、しっかり余熱が取れ、表面が少し固まったシュトレンに粉砂糖をふり、アルミホイルなど乾燥と光を遮断できるもので包む。

保存と賞味期限
  • シュトレンは、それぞれの材料の味や香り成分が引き出されて調和する、3~4日後からが食べ時です。
  • 今回作ったバター・シュトレンの賞味期限は1ヶ月です。バターが酸化すると不味くなりますので、冷暗所(地下室)での保存をおすすめします。冷蔵庫では保存しません(冷蔵庫の温度はでんぷんの老化を早めます)。
  • シュトレンは冷凍もできます。室温でゆっくり自然解凍してください。


‥‥…………………………………………‥‥・・・
コメントには私からのレスは付きません。
コメント欄の決まりごとについては、こちらをご覧ください。
‥‥…………………………………………‥‥・・・


ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村

by deutschebaeckerin | 2018-11-01 14:24 | お菓子 | Comments(0)

f0141507_07322867.jpg
数回に分けて、シュトレン(シュトーレン)について書きます。
写真は2009年12月にドレスデンのシュトリーツェルマルクト(クリスマス市)に行った時に撮影したものです。
ドレスデンのシュトレンはこのように平べったい形をしています。

私のサイトでシュトレンレシピを公開したのはずっとずっと昔だったと思いますが(現在載せているものでさえ、改訂版ということで2003年と書いていますし)、基本的に分量に変更はありませんが、作り方に改良が加わっています。10年以上前に家でシュトレンの講習会をした時に配った資料も、このままお蔵入りさせてしまうのももったいないので、公開して、皆さんのお役に立てば嬉しいです。

今は肉まんと和菓子の製造と会社経営で忙しくて、特に11月12月のシュトレンシーズンは肉まん繁忙期と重なりますので、講習会をする余裕が出てくるとは今の時点では全く想像がつきませんが、夫からの期待がものすごく大きいこともあり、どんなに忙しくても毎年アドベント前には必ず一回はシュトレンを焼いています。レシピも作り方もしっかり詳細まで記録してあるので、そのとおりに作るといつも同じ美味しい私のシュトレンが出来上がります。2年前のこの記事にもそういう話を載せていますね。自分で言うのもなんですが、レシピが完璧だって。

忙しい11月の中で、どこでシュトレン焼きを入れるか、作る前には、面倒だと感じることもありますが、作り始めたら楽しいし、作り終わった時の満足感、第一アドベントのロウソクを灯して、家族とシュトレンを食べる午後の時間。やっぱり今年も作って良かったなぁ、としみじみ思います。うちの伝統として続けていきたいです。

まずは歴史について。
これは、シュトレンの本のために私が資料を読み漁って書き上げ、入稿したものを元にしてあります。

シュトレン(シュトーレン)の歴史

シュトレンが初めて歴史に登場するのは、1329年のナウムブルクです。ナウムブルクは、ドレスデンの135km西側に位置します。この年は、ヨーロッパでペストが大流行した直後で、日本では鎌倉幕府の時代にあたります。

ナウムブルクの司教ハインリッヒは、1329年に製パン職人のギルドを作ることを許可し、パン職人たちはその特権に感謝して、クリスマスの贈り物として「シュトレン」を2本献上した、という記録が残っています。

しかしながら、当時のシュトレンは現在のフルーツ、バター、砂糖がたっぷりのものとはまったく違って、水・燕麦・菜種油で捏ねられた、とっても素朴なものでした。というのも、当時のアドベント(クリスマス前の4週間)は肉はもちろん卵、乳製品の摂取が禁じられた節制期間だったからです。当時から現在まで変わっていないのはシュトレンの形で、これは幼児イエスがおくるみに包まれているのを模しています。

当時のこの素朴な材料から作られたシュトレンは、風味の抜けたような、あまり美味しいとは言えないものだったらしく、当然ながら貴族の間での人気は衰える一方でした。そんな中、ザクセンの選帝侯エルンストとアルブレヒト3世(勇敢公)の兄弟は、ローマ法王ニコラウス5世に手紙を書いて、シュトレン作りにバターの使用を許可してくれるようにお願いしました。1491年、当時のローマ法王であるインノケンティウス8世は、「バター書簡」として有名なお達しをドレスデン宛に出し、それによってシュトレンには油の代わりにバターの使用が認められました。「バター書簡」には次のように記されていました。

「あなたたちの領邦国家では、油の取れる実がなる木がなく、油が全然足りず、あっても高価なのに品質が悪くて臭いと聞きました。菜種油はあるそうですが、体に悪くあなたの民が病気になるそうですね。ここに、あなたの願いを受け入れ、法王の力によって、あなたたちとその妻たち、息子、娘、宮廷の使用人と兵士にバターの使用を許可します」

このように、節食期間の間、君主とその家族とそこに勤める者がバターを使用してよいと、つまり、狭義にとると、宮廷にシュトレンを納める職人だけがバターを使って良いと書かれており、それに違反した者からは罰金をとって、そのお金で教会施設の建設に使うようにと書かれていました。しかし、この「君主の周りだけ」という条件つきのバター書簡の内容は、すぐに広義にとられるようになり、シュトレン作りにバターが使われることが広まっていきました。

ドイツ最古のクリスマス市と言われるドレスデンのクリスマス市は、「シュトリーツェルマルクト」といいます。1500年頃に初めてシュトリーツェルマルクトでクリストブロートが一般民衆に売られ始めました。

1560年からは毎年クリスマスの時期、ザクセン州のパン職人たちは、選帝侯に18キロもあるシュトレンを1本か2本献上するようになりました。8人のマイスターと8人の職人がこのシュトレンをかかえて市街を通り城へ運びました。

ドレスデンの西35キロに位置するジーベンレーンという町は当時美味しいシュトレンで有名な町でした。ジーベンレーンのパン職人たちは近郊のマイセンやドレスデンへシュトレンを馬車いっぱいに積んで運んで行っては売るようになりました。そのうち、ドレスデンの市議会までもがジーベンレーンのシュトレンを注文するようになり、ドレスデンのパン職人たちの怒りは頂点に達してしまいました。彼らはジーベンレーンから来る馬車を城門の前で待ち伏せしては馬車をひっくり返し、なんと火まで点けて追っ払ったりしました。そんなドレスデンのシュトレン戦争は、1648年にやっと「シュトリーツェルマルクトで販売していいのは、ドレスデンのシュトレンだけ」という特権がドレスデンのパン職人たちに与えられたことで終焉しました。

ザクセン選帝侯として最も有名で、驚異的な怪力の持ち主であったことから「強健王」の異称で呼ばれるアウグスト2世は、芸術や建築を深く愛し、絶対主義の演出装置として豪華な宮殿を多く建設しました。そんな彼の行った1730年に軍事演習はヨーロッパ最大と言われ、2万人以上と言われた招待客のために、ドレスデンの製パンマイスター・ツァハリアスを筆頭に100人以上のパン職人が卵3600個、ミルク缶326 本分の牛乳、1トンの小麦粉を使って重さ1.8トン、長さ7メートル、幅3メートル、高さ30センチもある巨大シュトレンを作りました。
このシュトレンを焼くために、宮廷左官ポッペルマンに専用の巨大釜を作らせ、出来上がったシュトレンは8頭立ての馬車に乗せて市中を通って王の前まで運ばせ、1,6メートルの長さのナイフで切って24000個に切り分けてゲストに振舞われたということです。

この巨大シュトレンの材料に卵が入っている点、また6月に焼かれた点は現在のシュトレンとかなり様相が違うようですが、それでもバロック時代のシュトレンとして、現在のシュトレンの先祖と捉えられています。

いつ、どこでシュトレンに現在のようなドライフルーツがたっぷり入るようになったのかは、はっきりわかっていません。ドレスデンの北西75キロに位置するトルガウのパン職人ハインリッヒ・ドラスドが、シュトレンにドライフルーツやアーモンドを入れる方法を思いつたと言われたりしますが、噂どまりで実際のところははっきりしていません。しかしながら、シュトレンの原型ができた中世から近代に至るまでに、十字軍で遠征した騎士たちがペルシャや地中海で食べたレーズンを持ち帰ったのをきっかけに、ヨーロッパでのレーズンの巨大な需要が生まれ、16世紀にはドイツでもぶどう栽培が盛んに行われ、17世紀にはぶどうとレーズンはすでにヨーロッパ料理になくてはならないものになっていたそうですし、シュトレンと同じくクリスマスの時期に食べられる、レープクーヘンの16世紀のレシピに、交易路の発達とともにアーモンドやオレンジピールとレモンピールが加わるようになったようなので、シュトレンのレシピにも発達する交易の影響が入ったものと容易に想像できます。

19世紀中ごろに砂糖の工業生産が始まって庶民に広まりだした頃から表面に粉砂糖が振られるようになりました。

19世紀のクリスマスはまだ富裕層のみのものだったようです。大都市の貿易商の家だけが豪華な食事やプレゼントを楽しんでいました。ドレスデンのコンディトライ・クロイツマンの歴史によると、19世紀の終わりにはすでに「ドレスナー・シュトレン」を外国へ送っていたそうですので、高級品として専門店だけで作られるものだったのではないでしょうか。

20世紀になって人々の生活が豊かになって初めて、シュトレンは現在のようなリッチな配合と品質のものに完成し、家庭でも焼かれるようになったようです。

・・・‥‥…………………………………………‥‥・・・
コメントには私からのレスは付きません。
コメント欄の決まりごとについては、こちらをご覧ください。
・・・‥‥…………………………………………‥‥・・・


ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村

by deutschebaeckerin | 2018-10-31 07:47 | お菓子 | Comments(2)