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クリスマスとスパイスの温かい関係

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11月も終わりに近づくとクリスマスはもう目の前です。
各家庭でクリスマスの準備が始まります。もみの枝とローソクでリースを作って部屋を飾りつけたり、クリスマスのお菓子づくりを始めます。町にはクリスマスマーケットが立ち、イルミネーションが飾られ、商店・スーパー・デパートにもクリスマス用のものがあふれます。クッキーやシュトレンを焼く時の香り、クリスマス市から漂ってくるグリューワインやキャラメルアーモンドの香りは、シナモン・クローブ・カルダモン・バニラ・アニスといったスパイスと甘い砂糖の混ざった、クリスマスらしい香りです。この香りが更にクリスマスの雰囲気を盛り上げてくれます。

ドイツ語には「クリスマスのスパイス」という意味の「ヴァイナハツゲヴュルツ(Weihnachtsgewürz)」という単語があるほど、スパイスとクリスマスは切っても切れない関係にあります。イエス様が誕生した時にやってきた東方の3賢人たちも贈り物の一つに香料を持ってきたといわれていますし、中世の時代のヨーロッパでは、アラブ商人を介して遠くインドや中国からやってきたスパイスは同じ重さの金と交換されるほどの貴重品だったそうです。その後の大航海時代もヴァスコ・ダ・ガマは、インド国王に、来航目的は「キリスト教とスパイスのため」と告げたというほど、ヨーロッパ人にとってスパイスはキリスト教と同じく思い入れの強いものだったようです。

また、スパイスは、その香りの魅力はもちろんのこと、冷蔵庫がなかった時代に、食品、特に肉の保存に役立つ「防腐・抗菌」などの効用に注目が集まりました。ペストが大流行した17世紀のヨーロッパでは、クローブの香りが病気を寄せつけないと信じられ、患者を診る医者は今の消防服のようなものを頭からかぶり、目の部分はガラス張り、口には長い管をつけ、その先に香りの高いクローブを詰めて空気をろ過するという珍案が発明されていたそうです。実際、クローブには抗菌作用だけでなく健胃作用や整腸作用もあります。その他、クリスマスのスパイスとして代表的なものには、クリスマスの寒い時期を健康に過ごすための効能を持つものばかりです。シナモンとカルダモンは体を温め、アニスは消化不良を軽減しますし、バニラは幸せホルモンを分泌させるのだそうです。

そんな香りのほのかについた甘いシュトレンはドイツ人にとって特別な思い入れのあるものです。それは、シュトレンを口にした時に、子供時代のアドベントやクリスマスの記憶や感情が鮮明に呼び起こされ、幸せな気持ちや当時の家族のこと、小さな自分を思い出すからでしょう。

今年のアドベントは仕事ばかりでなかなか家族との時間の取れなかった私ですが、私が焼いたシュトレンを家族や親戚が喜んで食べてくれて、嬉しいフィードバックをもらえると、忙しいけど、今年も作っておいてよかったな、と思います。子供たちが大きくなってから、「シュトレン=ママ」と思い出してくれるようになるといいな、と思います。

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ところで、ドイツの修業仲間でドイツの製菓マイスターと製パンマイスターの両方の資格をお持ちの根岸靖乃さんが、このたび独立されてオンラインショップ「N(えん)」を立ち上げました!インスタグラムの写真でもお分かりのとおり、どのお菓子も綺麗でおいしそうです。シュトレンもすごく上品な仕上がりで「さすがだなぁ」と唸ってしまいます。シュトレンはこの秋に彼女がスイスに遊びに来てくれた時に、私の工房の倉庫で使われずに埃をかぶっていたものをもらってくれて、それで焼いてくださったそうです。もともと、この型も廃業したベーカリーなどからの不用品を売っているお店で買ったものなんですが、靖乃さんにこんなに素敵に日本で生き返らせてもらって、さぞ喜んでいることだろうと思います。

うちの子たちが生まれた時に、日本の親戚や実家のご近所の方々など、お祝いをくださった方へのお礼として贈る出産内祝いで大変悩みました。日独ハーフの赤ちゃん誕生の内祝いに、こんな本場で修業された方のドイツ菓子セット等は最適だろうなって思います!

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by deutschebaeckerin | 2018-12-25 23:56 | お菓子 | Comments(0)