ツーガー・キルシュトルテ

f0141507_15353145.jpgやっとこさ3日連続で晴れて夏らしい日になったので、PCの前には座ってないで、自然の中へ出かけたり人に会ったりと、社交的活動的に過ごしていまーす。

さて、そんな天気の良い金曜日にマイスタリン優子さんがうちに遊びにきました。せっかく専門の同じ二人が揃ったということで、ツークのお菓子を紹介することも含めて一緒にいろんなコンディトライでツーガー・キルシュトルテを買ってきて、食べ比べをしてみました。

ツーガー・キルシュトルテというのは、1921年にHeinrich Höhn(ハインリッヒ・フェーン)氏が初めて作ったケーキで、スポンジにキルシュ(ヴァッサー)とシロップを混ぜたものがたーっぷり染み込ませてあるものを、キルシュ風味のバタークリームでコーティングし、上下をサクっとしたナッツ入りのメレンゲ板で挟み、上には粉糖、側面にはスライスアーモンドを飾ったものです。キルシュと名前がついているものの、お酒のキルシュが「これでもか!」というぐらい入っている以外は、フルーツのサクランボは一切入っていません。そういうわけで、シュヴァルツヴェルダー・キルシュトルテと同じ感覚で想像すると、全く違ったケーキなのに驚いてしまうと思います。

このケーキはお酒の量が半端じゃなく多いのと、お酒の味と甘み以外のインパクトが全くないので1カット食べるのにも結構苦労するものです。それなのに、ツーガー・キルシュトルテの元祖を謳い文句にしているトライヒラーのパンフレットには、「one of the best (一番人気のあるものの一つ)」ではなく、「スイスで一番人気のデザート」と書かれていますが、これってちょっと言いすぎでは?というか、傲慢すぎて逆に恥ずかしい感じがします。アインジーデルンという村の昔ながらの伝統お菓子と同じで、その土地で生まれたってことと伝統があるから売れるだけで、味はどちらかというと「マズウマ」「後引くマズさ(あんまり美味しくないけど続けて食べちゃう)」で表現した方が良いものなんですもん・・・。ツーガー・キルシュトルテもアインジーデルンの焼き菓子も、選択肢もなにも無かった昔は、これはとっても美味しいものだったっていうのは想像できますが。




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さて、ケーキは元祖のトライヒラー、マイヤー、ロイエ・ベック、ミグロの4店で買ってみました。シュペックのは美味しくないのはわかってますし、キルシュ・シュテンゲリというお菓子のテストを以前スイスのテレビ番組で実施した時も、キルシュの名産地ツーク代表だったくせに相当悪い成績だったという恥ずかしいお店なので、買いませんでした。味見をするのは、ドイツ製パンマイスターの私達のほか、優子さんのご主人とうちのダンナの会社の人たち、計6人(日本人2名、ドイツ人2名、スイス人2名)で行いました。

少しずつお皿にのせて味だけで判断しました。ミグロのは作業が雑なのか、シロップのかかり具合が均等ではないなど、お菓子の分野は素人のエンジニアからもコメントが出てましたが、とりあえず味において、自分が美味しいと思うものから順番に4から1のポイントをつけてみたところ、結果は

マイヤー17点
ミグロ15点
トライヒラー、ロイエ・ベック14点

ということで、あんまり違いは出ませんでした。というのも、本当に好みで差が出ることが分かったからです。トライヒラーとロイエ・ベックのは、非常にお酒の味が濃く、これに高得点をつけた人は、マイルドなマイヤーとミグロへの配点が低い。お酒の味のまろやかなのが好きな人の採点は全く逆でした。でも、全体的にマイヤーは点数がよく、誰も最低点はつけませんでした。

今度は試験官の国籍別でいうと、私達日本人はハッキリとマイヤーとミグロの点が高いのですが、ドイツ人とスイス人はトライヒラーとマイヤーが同点で1位になります。ということで、総合でもやっぱりマイヤーかな。実は、マイヤーはツークの新聞での「お気に入りのツーガー・キルシュトルテは?」というアンケートでもぶっちぎりの1位なんですよね。

今回トライヒラーでもらったパンフレットには、「元祖」ということと、1999年にスイスの雑誌で企画された、スイス中のケーキ有名店のキルシュトルテ試食テストで、他を引き離して1位を取ったという記事まで印刷されていますが、そこに書かれている試験官のコメントを見るにつけ、ちょっと出来レースかな?という疑惑は感じます。というのも、今回のミグロのようにシロップのかかり方が均等ではない等の、味ではない部分の採点の色も強く、たまたま買ってきた一つの出来が悪かったかもしれない、と言えるからです。本当はあってはならないことですし、日本なら全部を同じようにキレイに仕上げて当たり前ですが、こっちの職人なり見習いが作ったものかもしれないと考えると、あり得る話でして・・・(汗)。その点、このテストにおいてトライヒラーだけが全てが完璧っていうのは、事前にテストのことを知ってた、もしくはトライヒラーから編集部に持ちかけて出来た企画ではないのかな?なんて感じてしまいます。

ま、とにかく、このパンフレットに限らず、人の意見に惑わされて「頭で食べる」人はどこにでも沢山いるということで、そういう人にアピールして売るというのも売り方の一つですから、何も悪いことではないんですけどね。というわけで、私の今回の企画もただのご参考までに。自分がトライヒラーが好き!という方は、それで結構ですし、だからと言って、ミグロのを美味しいという人をバカにしたりするのも的ハズレですよ、ということです。味覚や嗜好がこんなに多彩だから、どのお店も生きていけるのだな~と、改めて思いました。
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by deutschebaeckerin | 2007-07-16 15:48 | モノ・商品 | Comments(5)
Commented by ごんざれす at 2007-07-16 22:33 x
 はじめまして。ドイツパン大好きのOLです。いつも楽しく拝見しています。
 先週、スイス旅行から日本へ戻ったばかりなのですが、ツーガー・キルシュトルテを食べに、旅の途中でツークへ寄りました。でも、マイヤーが美味しいという情報を持っていなかったので、駅前の「?」なディスプレイのマイヤーを通過してしまいまいした。残念!
 食べたのは、シュペックとトライヒラーです。シュペックは日本人好みかと思いました。トライヒラーは、お酒の主張が強かったです。私はトライヒラーの方が好みでしたので、日本へ送れるかと聞いたら当然駄目でした。日本で食べるには、自分で作るしかないのでしょうか。(:o;)
 とりとめもないコメントになってしまいましたが、記事を読むのをいつも楽しみにしています。これからも楽しい記事をよろしくお願いします。
Commented by deutschebaeckerin at 2007-07-17 07:55
はじめまして、嬉しい書き込みありがとうございます。
驚きました~~。わざわざ日本からツークへツーガー・キルシュトルテのためにいらっしゃる方がいるとは!!!(途中下車とはいえ)
マイヤーのディスプレイ・・・なかなか変ですよね。でも、キルシュトルテとマロングラッセは少なくとも私が食べ比べた中では美味しかったんですよ~~意外と侮れません。でも、優子さんも「なんでこの店の照明こんなに暗いの???」とか、あのプレゼンテーションはどこから来るセンスなのか謎です・・・他にも外のショーウィンドーに飾ってるクッキーやパイも「弟子作品?」というようなのが出てたりして・・・地元客以外を故意に遠ざけているのでしょうか。
トライヒラーのは元祖だけあって、ピンクにバタークリームを色づけしたり、細かいところが美しく、なかなかいいですよね。今日会った日本人の人は蒸留酒が大好き!って人で、彼女はツーガー・キルシュトルテも好き!ってことだったので、きっと彼女もトライヒラー派だろうな~と思いました。
Commented by kio at 2007-07-18 02:57 x
>「後引くマズさ(あんまり美味しくないけど続けて食べちゃう)」

あるある〜〜〜!と思わずうなづいてしまいました。
私はそれでいうと、
先日、バーゼルのメッセの自動販売機でみかけた、パッサパサの
Appenzeller Baerli Biberです。。
口当たりがもそもそ、ぼそぼそしてて、中身はナッツの餡が入っています。さして美味しいとは決して思わないこの「名物」ですが
和菓子っぽいところに、妙にはまってしまいました。
空港のキヨスクとかでも売ってるので
ついつい買ってしまうんです。
Commented by deutschebaeckerin at 2007-07-18 05:27
kioさん、わかるわかる!!なんか月餅ちっくなあれでしょ~?
一年に一回ぐらい何かの間違いで食べたくなって買ってしまい、一口食べて「やっぱり美味しくないよね」って思うんだけど、不思議に完食しちゃうんですよね。
Commented by deutschebaeckerin at 2007-07-20 20:21
キルシュトルテ食べ比べの追加結果です。先週うちの大家さんに偶然会ったので彼らにもケーキを渡したのですが、今日やっと結果のお知らせがきました。おじいさんは食べる前には「一番はトライヒラー」と言い切っていたはずなのに、「1位マイヤー、二位ミグロ」とのこと。おばあさんは「一位トライヒラー、二位マイヤー」だそうです。今回の結果、やっぱりマイヤーが誰にとっても上位に食い込むようですね。


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