天然酵母 ⑦

極微量イーストの生地は、「サクランボ+蜂蜜酵母」ちゃんよりは少し遅いものの順調に膨らんでいます。こちらは、サワー種のような、まろやかな酸っぱい香りがします。やっぱりゆっくりゆっくりやっていると、乳酸菌がかなり増えちゃうんでしょうねぇ。

酵母について、もう少し本とネットで調べてみました。
製パンの教科書ではなく、ドイツの栄養学の本の方に意外に詳しく出ていました。
「食品衛生」編の「腐敗」に関するところでの紹介なのが、私にとってはちょっと可笑しかったですが。
(出典 Prof. Ulrike Arens-Azevedo他著, Ernährungslehre, Verlag Gehlen - Bad Homburg vor der Höhe, 2000)

- 酵母菌はカビの胞子と同じように自然界のいたるところに存在する。
- 有酸素呼吸の状態で、15~25℃の間で、とても急速に増殖する。
- 500種以上の酵母菌が確認されている。
- 最適な環境のもとでは、20分毎に出芽分裂するので、たった一つの酵母細胞から、10時間後には約10億個に増えていることになる。
- 空気のある表面に酵母が増えすぎると、過剰となった分は沈み、そこには酸素がないのでアルコール発酵を始める。
- 一般的にKahmhefe(film-forming yeast、膜はり酵母)と呼ばれる野生酵母は、液体の表面でだけ増殖し、白っぽい薄い膜を作るのが特徴。野生酵母の発酵するところによく現れる。
- イーストの生産は、廃糖蜜を培地にして、20~26℃で酸素を常に送り込みながら、有酸素呼吸をしながら増殖するような環境で行われる。こうすることにより、糖分が発酵に使われないように(酵母菌の増殖が止まらないように)している。

どうですか?今後のパン作りにとっても参考になりますよね。



私も去年、マイスターコースで勉強し直すまで、サワー種の中には「乳酸菌と酢酸菌」がいるものと思い込んでいましたし、もしかしたらサイトにも間違えて書いてるところもあるかもしれませんが、実際のところ、サワー種の中には酢酸菌は存在すべきものではありません。乳酸菌には、ホモ乳酸菌とヘテロ乳酸菌とがあり、サワー種に主に入っている乳酸菌である、ラクトバチルス属は両方が含まれます。以下に、サワー種中の菌とその作り出すものをまとめてみました。

ホモ乳酸菌 → 乳酸
ヘテロ乳酸菌 → 乳酸、酢酸、アルコール、二酸化炭素
酵母菌 → 二酸化炭素、アルコール

しかし、酢酸菌もいたるところに存在するもので、Wikipediaによると、
「酢酸菌は天然には、糖や植物性の炭水化物が酵母により醗酵してエタノールが生成しているような場所に存在する。花の蜜や傷ついた果実などからも単離される。また、低温殺菌・濾過滅菌していない、作りたてのリンゴのシードルやビールにもよくみられる。酢酸菌は好気性を持つため、そのような液体においては表面に膜を作る形で成長する。ワインなどのアルコール飲料に酢酸菌が作用すると酢ができる。」

サワー種や中種のヘテロ乳酸菌が、酢酸を作り出すのは避けられないことですし、むしろ酸のうち約20%ぐらいは酢酸が入る方が味のためにも香りのためにも良いことなのですが、天然酵母において酵母起こしをする時、もしくは少量のイーストからじっくりと中種を熟成させるとき、ブクブクとアルコール発酵をさせて喜ぶのは、ちょっと違うかな?という感じがしますね。酵母の増殖には向いていない環境ですし、アルコール(エタノール)が生成しているようなところに好んで酢酸菌が存在するようですし、酢酸菌はエタノールを酸化して酢を作るので、生地が酸っぱくなりやすいようですね。

さて、こんな酵母菌のお話をしていたら、以前記事に書いた「ビオナーデ」という飲料を作るための菌の話も思い出しませんか?あれは「「発酵によって酸は出すけど、アルコールは出さないもの」でした。意外とこれって難しいんだなって、ビオナーデに対する理解も深まりますよね。
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by deutschebaeckerin | 2007-07-04 19:34 | パン | Comments(0)


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