スイスで未就学児を育てながら働くママの日常

2013年5月の原稿より。

今回はスイスで働きながら育児をしている私の日常について書いてみたいと思います。

私は現在のところ、月曜日と火曜日の週2日仕事をしています。子供が産まれる前にはキッチンの仕事をしたりもしましたが、やはりパン作りが好きなので、長くブランクを作らないようにと思い、下の子が卒乳したのを機に履歴書を更新して地元の小さなパン屋さんに応募しました。

私が入るまで、そのお店のシェフは週7日出勤で休む暇なく大変だったそうで、せめて週2日はゆっくり眠れて工房で立ち働かなくてよくなるようにということで、私は採用してもらいました。私自身も幼児を2人抱えてフルタイムは無理ですし、週3日出勤は最初からはきついだろうと想像していたので、ちょうど良かったです。

私は主にオーブンを担当するので、仕事開始は朝3時か4時です。生地作りの人はそれより1時間早く出勤して、仕込みや、多加水で低温長時間発酵の生地(パン・パイヤス)を計量成形してスリップベルトに載せるという作業をしています。私が仕事を開始する頃にドーコンに入れておいたパン生地も釜入れ準備完了!という状態になっています。

今まで働いてきたドイツやスイスのパン屋さんはどこでもそうですが、パン屋の仕事は常に小走りで対応しなきゃいけないぐらいやることがいっぱいで忙しいです。仕事中は無我夢中ですが、終わってからは体は疲れていても、緊張した頭がなかなかほぐれないのが困ったものです。

ところで、私が仕事の日は、夫が子供たちを保育園に送って行ってくれます。月曜日は夫は在宅勤務の日なので、私は仕事が終わったら、家に帰ってランチを作って夫と遅めの昼食をとり、その後は30分ほど仮眠を取って、掃除や洗濯をし、5時半に子供たちを保育園に迎えに行きます。

日本で「働くママ」というと、子供の保育園の送迎や家事全般まで毎日自分でこなしているというすごい人が多い印象です。スイスでは、子供が中学生ぐらいになるまでは、週5日毎日出勤をする人はごくわずかで、たいていはワークシェアで週2~3日の勤務にしたり、たとえフルタイムでも週1日は自宅勤務にしている人が大半です。

かなり保守的な国なので、「子供はなるべく家で育てる」という考えが基本で、毎日通える幼稚園が始まるのは、5歳から(ドイツは3歳)。しかし、授業は午前中だけで、お昼ご飯には帰ってくるんです。小学校も中学校も高校もお昼休みは基本おうちに帰ってご飯を食べることになっているので(さすがに高校になると学食もありますが)、どちらか片親がお昼には家にいるようにするか、ご近所やお友達の親御さんとお昼ご飯の担当スケジュールを決めて毎日の負担を和らげないと、仕事と子育ての両立は、強い味方のジジババが近所にいない限り不可能です。そういうわけで、若い世代からは、保育園の充実や学童保育を広げて欲しいという要求の声が沢山あがるのですが、なんでも国民投票で決めるスイス、せっせと投票に出かけて意思決定を左右するのは、やはりお年寄り達。お年寄り達は、今まで保守的にやってきて国も教育もうまくいってるので、変更する必要なし!と考える人が多いようで、子育て支援系の法案は次々と否決されてしまうのが現実です。強い味方のジジババが傍におらず、一番支援を欲しがっている、うちみたいな外国人世帯には投票権がないのも痛いですね。

うちの娘も今年の8月からは幼稚園に通えるので、やっと高い保育園料を払わなくてよくなるのは嬉しいのですが、お昼にはもう家に戻ってくるのと、幼稚園から高校まで、とにかく夏休み、秋休み、クリスマス&お正月休み、スキー休み、春休みと、とにかくスイスは2週間以上の学校のお休みが多いので、そこをどうやって乗り切ればいいか頭の痛いところです。保育園は料金は高いものの、朝から夕方まで預かってくれますし、休暇も年末年始のクリスマス休暇が10日程度、夏休みが2週間だけなので、これまでなんとかやってこれました。

子供を持たず仕事だけ、もしくは家事育児だけなら悩みも少ないのでしょうけれど、あれもこれもしたい、しかもできるだけ完璧に、というのは、実は親のエゴだし、体力も精神力も消耗するんですけど、今の状態を手放さないためには、とにかくやり続けるしかないですね。

私の仕事は週2日ですが、子供たちは週3日保育園に通っています。子供たちのいない1日は、集中して掃除・洗濯・買い物をしたり、メールのお返事など普段できないデスクワークをしていたら、あっという間にお迎えの時間になってしまいます。

ところで、日本より私が楽をさせてもらっているだろうと思うことは、夕食をカルテスエッセン(冷たい食事)にすることが多いことでしょうか。子供がいなかった時には、自分も食べたいし、夜も日本みたいにしっかり作っていたのですが、夫自身がもともとカルテエッセンで問題ないというか、それが好きなドイツ人ですし、何より子供がいると夜まで調理してその片付けまでしているパワーがありません。子供たちには塩茹でしたマカロニに粉チーズを絡めて、あとはフルーツを切るだけ、みたいなことも多いです。日本でこんなメニューの夕食を出したら、駄目妻決定ですね。

ただし、お惣菜を買ってきたり、納豆や冷奴といった開けるだけ、切るだけという便利食材もないので、日本の味はほぼ自家製です。米を蒸して麹を作るところから味噌、みりん、料理酒、塩麹を作り、青シソ赤シソはプランターに種から植えて、アプリコットで梅干を作ったり、梅酢にシソを漬けて「ゆかり」を作ったり、手打ちうどんはタピオカ粉を入れて讃岐うどんに、パスタを茹でるお湯に重曹を入れてラーメンの香りをつけて。食べたきゃ手作り!の世界です。

ヨーロッパに暮らし始めた15年前は「片栗粉」まで日本からトランクにつめて持ってきていた私ですが、現地調達でなんでもできるようになりました。海外生活は楽もあれば苦もあり、苦も楽しんで取り組めば身になります。
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by deutschebaeckerin | 2017-05-08 04:16 | 妊娠・出産・育児 | Comments(2)
Commented by tomomato at 2017-05-08 19:29
みちえさんは本当に頑張り屋さんですよね。 
お父様のご病気があって実家に何回おお戻りになったり、ここのところはきっと大変でしょう。 どうぞお体に気をつけて!スイスの保守的な姿勢は本当に変わりませんよね。 びっくりするくらい。 あまりに国が安定しているからかな。  
うどんにタピオカ粉!! それは知らなかった! zopfメールに足しているのですか? 
 お元気で〜 
Commented by deutschebaeckerin at 2017-05-10 00:21
tomomatoさん、こんにちは!いえ、頑張り屋さんなのか、ただいろいろやりたいだけなのか・・・。仕事が好きなのと、人とポジティブに関わることが好きなので、何が優先順位の上なのかを考えながら自制してやってます。

うどんにタピオカ粉知りませんでしたか?はい、Zopfメールでやってます。レシピはこれ。
https://cookpad.com/recipe/67881
この人は片栗粉でもなるのかもしれないとか書いてますが、それは絶対ないです。逆にコシがなくなると思います。

タピオカ粉入りのうどんは寝かしたり、いっぱい踏んだりとか何もしなくてもすぐに材料のみあってればできます。Tapioka Mehl 菱粉とかそういう名前で売ってますよ。

以前、日本から家族が来た時に作ったら、父とか弟に絶賛されました。


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