2017年 02月 09日
育児って思っていたより大変だった
マイスター取得後に、元職場であるスイスのスーパー大手ミグロのパン工房に戻るという選択肢もあったのですが、夫をはじめ他の人とは違う仕事時間で働くということを少し休みたかったので、いったん家にいることにして、それまでなかなかできなかった、地元の婦人会入会や日本人会役員といった地域交流や、通訳・翻訳のお仕事をさせていただく機会となりました。
たまに集中的に翻訳の仕事をしながら、昼間からプールへ行ったり、森にウォーキングに行ったりの健康的なお気楽主婦的生活も、なかなか子供にも恵まれないようですし、1年もすると退屈になってきました。そこで、近所の学校で募集していたキッチン補佐の60%のお仕事を始めてみたところ、半年ほど働いた頃に妊娠がわかりました。
待ちに待った妊娠で、私としては子供が生まれたら仕事をやめて子育てに専念!と私の母世代では当たり前だった考え方でいたのですが、子育ての先輩である職場の同僚や事務の女性たちに「とりあえず続けるつもりで保育園に申し込みを出した方がいいよ。」と言われました。考える暇もなく、彼女たちが申込書をダウンロードしてくれたり、近所の保育園に電話してくれたりして、私の専業ママになる意思もそんなにしっかりしたものではなかったので、流されるままに申し込みを出しておいたのです。子供の名前の欄は空白、誕生日のところには出産予定日を。注意書きのところに、まだ生まれたない子のための申し込みの場合は、生まれた後になるべく早く事務所に名前と生年月日を知らせることって書いてあるので、へ~、これが普通なんだ~という感覚でした。
ここまで読まれた方はスイスは子育てしながら働く環境が整ってるという印象を持たれるかもしれないですね。ところがどっこい正反対!!隣国ドイツやフランスに比べると、超保守的で仕事を続けることがとても困難なんです。
一般的に育児休暇は3ヶ月、この間過去9ヶ月間にもらっていたお給料平均額の80%の給与が支払われます。その後は、個人個人で会社と話合って無給で休みを取得できたりします。ドイツでは割とある、男性の育児休暇取得なんてスイスではほぼありません。
保育園の数はものすごく少なく、どこも待機リストが100人を越すすさまじさ。私立保育園は割りと空きがありますが、週5日で月謝が25万円ほどかかります。私立は駅に近いとか独英二ヶ国語対応をしていたりと、預ける側にメリットは多いのですが、狭かったり庭がなかったりします。公立保育園は市からの援助があり、親の収入によってお月謝が違います。例えば、年収300万円以下の家庭の場合は、週5日の月謝が2万円と安いのですが、1千万円で月謝10万円、1千8百万円を突き抜けてしまうと月謝が最大の23万円でそれ以上にはなりません。
こんなに保育料が高くて、スイス人女性はどうしてるのか?と疑問に思いますが、午前中子供をつれてお散歩に出るとすぐにわかります。地元女性は実家や親戚という強い味方がいますので、午前中の公園や散歩道は老人と赤ちゃんというペアがわんさか。
身近に頼れる親戚のいない、うちみたいな外国人家庭はなにがなんでも公立保育園に入れないと仕事が続けられません。実際、うちの子達の通う保育園の子供たちの国籍の幅の豊かなこと!みんなおうちで外国語を話し、保育園でスイスドイツ語を共通語にして遊んでいます。
さて、私のことに話を戻しますと、出産1ヶ月前まで立ち仕事で働き、出産後3ヶ月で職場復帰しました。保育園には入れなかったので、同僚の知り合いで保育ママさんをされてる方にうちの娘も見てもらうことになりました。生後3ヶ月ですから、寝てばかりだし、食事も私が休憩時間に絞った母乳、預けるのが7時間。でも一日7千円もかかり、働いても手元にはほとんど残りません。それでも仕事を続けるのは、半分は自己満足、半分はリスク分散。このご時勢、いつ何があるかわかりません。特に外国人で子持ちだと、仕事という世界に少しでも足がかりを残しておかないと、簡単には戻れない可能性が高く、それが怖いのです。
もちろん、こんな話を日本の母にしたところ大激怒!!せっかく授かった子供を3ヶ月から人に預けて働くなんて!!と、しばらく絶縁状態が続きました。しかしながら、孫かわいさと外国生活の大変さを理解したのか、はたまた子供を預けてるとは言え、時短勤務で午後2時からは娘との時間になるのをスイスに来て見て、応援してくれるようになりました。
ちょうどハイハイができるようになった頃に娘は保育園に移れました。やはり小さい子はよく病気をしますし、その時に休みやすいように、私は契約を週3日、時給勤務にし変更してもらいました。
このように変更できたのも、とりあえず仕事に戻って半年間がんばった実績を見せられたからだと思います。産む前にも提案したのに即却下でしたから。子育てしながら仕事っていうのは、親戚などの手助けがないと本当に大変ですね。それから、産む前には誰も教えてくれませんでしたが、育児って大変ですね!!!こんなに体力と精神力がいるものだとは想像していませんでした。